雨とラジオ

思いついたことを書き留めていくブログ

初恋の味は血反吐

みなさんは大雨の降る夜に来ない待ち人を待ち続けた経験があるだろうか。

私はある。

新卒で上京したころ、私は初恋の人と待ち合わせをしていた。

 

私は20年来年賀状を送り続けている女の子がいた。

それが初恋の人だった。

初めて会ったのは幼稚園の頃で、一目惚れだった。

しかし程なくして小学校の頃、引っ越しで東京へ行ってしまった。

彼女に自分のことを忘れてほしくなかった私は親づてで住所を教えてもらい、

毎年年賀状を送ることにした。

それからは一年に一度教えてもらえる彼女の近況を知るのがとても楽しみだった。

 

そして21歳の正月、東京への就職が決まった私はその旨を年賀状に綴った。

すると3が日の夕方、携帯に見知らぬ番号から電話がかかってきた。

電話を取ると、それは彼女だった。

「会おうか。」

就職の祝いの言葉、久しぶりに声を聴いたお互いの懐かしさ、

それ以上にその言葉に震えていた。

 

上京した私は研修先の横浜で待ち合わせをし、終業後に待ち合わせ場所へと向かった。

茶店にいた彼女はとても綺麗になっていた。

あまり上手く話すことはできなかったが、昔と変わらない懐かしい笑顔が見れて泣きそうだった。

その週の土曜に私が誕生日であることを伝えると、

お祝いをしようという事になり、土曜はデートの約束になった。

人生で初めてのデートの約束だった。

 

当日は午前中から髪を切りに行き、なるべく服装を整えて、待ち合わせ場所のショッピングモールへ向かった。

昼ころに彼女から連絡があり、遅れるとのことだった。

無理せず夕食を一緒にするだけにしようと提案し、夜まで待った。

 

そして冒頭へ戻る。

21時を過ぎたが、彼女とは連絡がつかなかった。

ショッピングモールのお店も明かりを消す店が出だした。

何かあったのかもしれないと彼女の母親に連絡を取ったが、

外出してから特に連絡は来ていないとのことだった。

23時過ぎまで待ったところで、私は家に帰ることにした。

それから布団にくるまり、彼女の連絡を待った。

久しぶりにあったときに何か悪いことをしたか?

何か外せない用事が出来てしまったのか?

様々な憶測を巡らせながら彼女の連絡を待った。

しかし、その日の連絡が彼女との最後になった。

 

私は翌日風邪を引き、月曜まで治らず会社を休んだ。

そして2年後に会社を辞め、地元に帰った。

それから1年後、彼女が婚約したのをSNSで知った。

 

先日、夢に彼女が出てきた。

私は雨の中にいた。

彼女が何を喋っていたかは分からないが、

見たくない彼女の笑顔を振り払うように夢から覚めた。

それがこの記事を書くに至った動機だ。

 

今でも、何故あの日会えなかったのか考える時がある。

自分が夢に描いた人生計画はあの日全て崩れ去り、

今も何をして生きていこうかばかり考えている。

きっと何を間違ったわけでもない。お互いそういう人生だったのだろう。

 

それでも、見つからない答えを心の奥底でずっと探しているのだと、そう思う。